大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和29(あ)2079 判決

主 文

原判決を破棄する。

本件を広島高等裁判所松江支部に差戻す。

理 由

被告人本人並びに弁護人園田寛の上告趣意中、被告人の自白は任意性を欠くとの

点は、本件記録を精査しても、被告人が所論のような強制によつて自白した形迹は

みとめられないから、所論達意の主張はその前提を欠くものというの外なく、その

他、論旨はすべて刑訴四〇五条の適法な上告理由とならない。

次に職権をもつて調査するに、第一審判決判示第四の犯罪事実については、記録

にあらわれたすべての証拠を検討しても被告人が真犯人であると断定するに足る資

料に乏しく、殊に、米子市立a中学校教職員の昭和二六年一月の俸給が、特に通常

の支給日を繰上げて、同月二〇日に支給されることとなつたことを、いかにして被

告人が知るに至つたかの経路について十分の証明がなく、被告人を現場で目撃した

という多くの証人の証言も確実性に乏しく、その他詐取したとせられる金員の使途

についても全く不明であり、これらの点に関する被告人の検察庁における自白はそ

の真実性において疑を抱かせる点が多々あつて、これを要するに右判示第四の犯罪

事実の存在を是認した原判決の判断は事実の認定に誤認の疑あるものといわざるを

得ない。

よつて刑訴四一一条、四一三条を適用し、裁判官全員一致の意見をもつて主文の

とおり判決する。

検察官 安平政吉公判出席

昭和三三年二月二一日

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 小 谷 勝 重

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裁判官 藤 田 八 郎

裁判官 河 村 大 助

裁判官 奥 野 健 一

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